リコンディショニング・ジャーナル No.02 January.21, 2000


リコンディショニングとは何か?
 そもそもリコンディショニングとは何か。この号では、編集部でわかりやすい説明を試み てみました。ご感想をお寄せいただければ幸いです。なお、Sportsmedicine Quarterly第 25号では「リコンディショニングの概念図」を掲載しましたが、これについては次号で取 り上げる予定です。

リコンディショニングとは
 リコンディショニングとは、ひとことで言えば、体調の不良を改善することですが、こ れまでの考え方や方法とは異なるのが以下の点です。

●これまでの運動の捉え方
健康・体力づくりに運動がよいと言われてきましたが、その運動を規定するのは以下の 4点でした。
  様式(どんな運動を)
  強度(どれくらいの負荷、強さで)
  頻度(何日に何回くらい)
  時間(1回何分、何時間継続するか)
 しかし、この4点のみでは、結局、運動をしたためにケガをしたとか、運動後疲労し、 その疲労が取れないとか、痛くなかったところが痛くなってきたとか、あるいは運動自体 が面白くなく、特に運動経験が少ない人にとっては、つらく感じられ、やがて運動をやめ てしまうということがありました。

●からだの仕組み、からだの動きの仕組みからみる
 そこに欠けていたのが、運動つまり人の動きそのものに対する理解です。なぜ、うまく 動けるのか、なぜうまく動けないのか。センスや経験ではなく、からだの仕組み、からだ の動きの仕組み(ファンクション)からみていこうという視点です。

●運動は安全がベース
 運動は諸刃の剣といわれ、適度にやると健康・体力づくりに効果があるが、誤った方法 では身体をいためることになると指摘されてきました。
 よく言われるのが「スポーツや運動にケガはつきもの」。ケガをするリスク(危険性) を知りつつ、行うもの、それが運動やスポーツだったのです。本当にそうでしょうか。リ スクがなぜ生じるのかがわかれば、運動は安全に行うことが可能なはずです。また、その ような運動が効率のよい優れたものになると考えられます。

●リコンディショニングの3つのポイント
 これらの視点から考えられたのが、リコンディショニングです。
 リコンディショニングの要点を挙げてみましょう。

1-ケガをしないで動けるからだにする
 ケガをしないで動けるからだとは何でしょうか。その動きがその人のからだに無理でな く、したがってケガを回避するものになっているということです。悪い動きとは、からだ に負担をかけ、効率が悪く、長くあるいは強く行うとからだをいためることになります。 よい動きは、からだをいためず、効率がよく、動くこと自体が楽しくなるものです。した がって、よい動きで運動すれば、からだに悪い負担をかけず、強いからだにしていくこと が可能です。

2-多くの人が抱えている「不調」を動きのなかで捉えて改善する
 たいていの人は歳とともに、からだのふしぶしが痛かったり、筋肉がこったり、関節が よく伸びない、よく曲がらない、力が入らないなど、「不調」を抱えています。
「私はどこもわるくない」と言う人も、聞いていけば、若いときはできたことが今はで きないとか、そう言われると、すぐ腰が痛くなる、肩がこる、長い時間歩いたり、立った りするとどうも調子がわるくなるという問題を抱えていることが多いものです。「どこも わるくない」というのは、実は「医者にいくほどわるくない」という意味なのです。
こういう人たちが共通して持っているのが、姿勢や運動(歩行、立ち居振る舞い)の問 題です。悪い姿勢、悪い運動を毎日続けているため、からだの弱い部分に負担がかかり、 そのままだとやがては、病院に通わなければならなくなります。一念発起、元気になろう !と運動を始めると、悪い姿勢や運動の習慣から、やればやるほど悪くなるかもしれませ ん。
 リコンディショニングでは、その人のからだの仕組み(構造)と動き(機能)をみて、 その悪いところを改善します。調子の悪いところ(痛み、不安定感、脱力感など)だけを みるのではなく、その原因を姿勢や動き、からだの使い方からみていきます。ですから、 その人が自分では気がついていない問題をいち早くみつけてあげ、将来痛みなどの症状が 出ないように対応することもできます。これは大変重要なことです。

3-リコンディショニングは医療保険でできないものに対応
 様々な症状、状態には治療が必要なものも当然あります。リコンディショニングの方法 は治療にも使うことができますが、リコンディショニングと言う場合、治療に至らないも の、あるいは治療はすんだがまだ調子が戻らないというものを対象にします。これらは医 療保険の範囲の外にあり、これまで医療でも、その他の分野でも対応がむずかしい、ある いはそのノウハウがなかったものです。
医療費の抑制が叫ばれ、一方でいつまでも元気に過ごせるからだが必要とされるこの時 代に、リコンディショニングはその両方を満たすものと言えるでしょう。